文豪ストレイドッグス

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BUNGO STRAY DOGS NEWS

【八周年】八周年八大企画其ノ五「博物館 明治村×文豪ストレイドッグス 迷ヰ犬見聞録」全容公開!

9月14日から開催の「博物館 明治村×文豪ストレイドッグス 迷ヰ犬見聞録」。
その全容を発表いたします。大ボリュームでお届けするコラボレーションをお見逃しなく!

期間
2024年9月14日(土)~12月15日(日)
※時期により、一部コラボ内容が切り替わります。
詳細は下記「オリジナルボイスドラマ」欄をご確認ください。

コラボイベント詳細
①謎解きゲーム
本コラボ限定の完全オリジナルストーリーが登場。作中の異なる時間軸で巻き起こる、3つの事件を体験せよ!各コースをクリアして、オリジナルステッカーを手に入れよう!全てのコースをクリアされた方には、先着1,000名様限定で「オリジナルロールメモ」をプレゼント!

②スペシャルボイス
[オリジナルボイスガイド]
文豪ストレイドッグスのキャラクターたちが明治村の建造物を特別にご案内!
各キャラクターならではの解説を聞きながら歴史的建造物を巡ろう!

[オリジナルボイスドラマ]
また、「新幹線車内&名鉄名古屋駅オリジナルボイスドラマ」も実施!東海道新幹線車内限定&名鉄名古屋駅だけで謎解きと連動した時期ごとに異なるボイスが楽しめます。 なお、東海道新幹線に乗車すると切符風記念カード(3枚)+収納できるクリアケースのセットを進呈!

※東海道新幹線車内と名鉄名古屋駅で聴けるボイスは別のものです。

③企画展「明治村文豪邂逅記」
本展覧会では、近代日本の文豪たちにまつわる直筆原稿や書簡、愛用品などとともに、文ストキャラクターとの共通点を探しながら、彼らの秘めた想いと素顔に迫ります。

【期間】
前期:9月14日(土)~10月29日(火)
後期:10月30日(水)~12月15日(日)
※会期中、一部資料の展示替えを行います。

④スタンプラリー
村内では2種類のスタンプラリーを開催!

⑤梶井基次郎の「檸檬爆弾」的当てゲーム
檸檬を的に当ててオリジナルステッカーをゲットしよう!

⑥コラボグルメ
作品にちなんだコラボメニューも盛りだくさん。
メニュー1点ご注文いただくと、もれなくオリジナルコースターを1枚プレゼント!

⑦コラボグッズ
描き下ろしキャラクターやオリジナルちびキャラをデザインしたコラボグッズもご用意!

詳細は博物館明治村公式サイトをチェック!
https://www.meijimura.com/lp/autumn2024/

隴西の李徴は博学才穎、天宝の末年、若くして名を虎榜に連ね、ついで江南尉に補せられたが、性、狷介、自ら恃むところ頗る厚く、賤吏に甘んずるを潔しとしなかった。

いくばくもなく官を退いた後は、故山、虢略に帰臥し、人と交を絶って、ひたすら詩作に耽った。

下吏となって長く膝を俗悪な大官の前に屈するよりは、詩家としての名を死後百年に遺そうとしたのである。

しかし、文名は容易に揚らず、生活は日を逐うて苦しくなる。李徴は漸く焦躁に駆られて来た。

この頃からその容貌も峭刻となり、肉落ち骨秀で、眼光のみ徒らに炯々として、曾て進士に登第した頃の豊頬の美少年の俤は、何処に求めようもない。

数年の後、貧窮に堪えず、妻子の衣食のために遂に節を屈して、再び東へ赴き、一地方官吏の職を奉ずることになった。一方、これは、己の詩業に半ば絶望したためでもある。

曾ての同輩は既に遥か高位に進み、彼が昔、鈍物として歯牙にもかけなかったその連中の下命を拝さねばならぬことが、往年の儁才李徴の自尊心を如何に傷けたかは、想像に難くない。

彼は怏々として楽しまず、狂悖の性は愈々抑え難くなった。一年の後、公用で旅に出、汝水のほとりに宿った時、遂に発狂した。

或夜半、急に顔色を変えて寝床から起上ると、何か訳の分らぬことを叫びつつそのまま下にとび下りて、闇の中へ駈出した。

彼は二度と戻って来なかった。附近の山野を捜索しても、何の手掛りもない。その後李徴がどうなったかを知る者は、誰もなかった。

翌年、監察御史、陳郡の袁傪という者、勅命を奉じて嶺南に使し、途に商於の地に宿った。

次の朝未だ暗い中に出発しようとしたところ、駅吏が言うことに、これから先の道に人喰虎が出る故、旅人は白昼でなければ、通れない。

今はまだ朝が早いから、今少し待たれたが宜しいでしょうと。袁傪は、しかし、供廻りの多勢なのを恃み、駅吏の言葉を斥けて、出発した。

残月の光をたよりに林中の草地を通って行った時、果して一匹の猛虎が叢の中から躍り出た。

虎は、あわや袁傪に躍りかかるかと見えたが、忽ち身を飜して、元の叢に隠れた。

叢の中から人間の声で「あぶないところだった」と繰返し呟くのが聞えた。

その声に袁傪は聞き憶えがあった。驚懼の中にも、彼は咄嗟に思いあたって、叫んだ。

「その声は、我が友、李徴子ではないか?」袁傪は李徴と同年に進士の第に登り、友人の少かった李徴にとっては、最も親しい友であった。

温和な袁傪の性格が、峻峭な李徴の性情と衝突しなかったためであろう。

叢の中からは、暫く返辞が無かった。しのび泣きかと思われる微かな声が時々洩れるばかりである。

ややあって、低い声が答えた。「如何にも自分は隴西の李徴である」と。

袁傪は恐怖を忘れ、馬から下りて叢に近づき、懐かしげに久闊を叙した。

そして、何故叢から出て来ないのかと問うた。李徴の声が答えて言う。自分は今や異類の身となっている。

どうして、おめおめと故人の前にあさましい姿をさらせようか。

かつ又、自分が姿を現せば、必ず君に畏怖嫌厭の情を起させるに決っているからだ。

しかし、今、図らずも故人に遇うことを得て、愧赧の念をも忘れる程に懐かしい。

どうか、ほんの暫くでいいから、我が醜悪な今の外形を厭わず、曾て君の友李徴であったこの自分と話を交してくれないだろうか。

後で考えれば不思議だったが、その時、袁傪は、この超自然の怪異を、実に素直に受容れて、少しも怪もうとしなかった。

彼は部下に命じて行列の進行を停め、自分は叢の傍に立って、見えざる声と対談した。

都の噂、旧友の消息、袁傪が現在の地位、それに対する李徴の祝辞。