文豪ストレイドッグス

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「文学の森へ 神奈川と作家たち展 第3部 太宰治、三島由紀夫から現代まで」とのコラボ企画の詳細決定!春河35先生描き下ろしイラストも公開!

2024年2月6日(火)~3月24日(日)に県立神奈川近代文学館で開催する「文学の森へ 神奈川と作家たち展 第3部 太宰治、三島由紀夫から現代まで」で、「文豪ストレイドッグス」とのコラボ企画の詳細が決定。朝霧カフカ先生による講演会と文豪解説パネルの展示、春河35先生のイラストを使用したオリジナル缶バッジのプレゼントなどを予定しています。

◆コラボ内容

・2月11日(日・祝)、朝霧カフカ先生による講演会開催(参加申込は終了しました)・展示ご観覧の方に春河35先生描き下ろしイラストを使用した缶バッジをプレゼント・ミュージアムショップにて、同じイラストを使用したクリアファイルと絵はがきを販売(缶バッジプレゼントとグッズ販売についての詳細は下記をご覧ください)。・エントランスホールにて朝霧カフカ先生による文豪解説パネルの展示(エントランスホールには展覧会入場者のみがお入りになれます)

春河35先生描き下ろしイラスト

春河35先生の描き下ろしイラストは、横浜を闊歩する休日の太宰治。背景に描かれた風景は作品の舞台となった横浜の聖地です。聖地それぞれにあしらわれた文豪の関連アイテムやワッペンにご注目ください。文学館が建つ港の見える丘公園は中島敦と泉鏡花です! 描き下ろしイラストを使用したオリジナル缶バッジのプレゼント、同じイラストを使用したオリジナルクリアファイルと絵はがきの販売を行います。


©2024 朝霧カフカ・春河35 / KADOKAWA

缶バッジプレゼント

「文学の森へ」展ワークシートを解いて、展覧会場を出たところにあるミュージアムショップ係員にお見せ下さい(正解しなくても大丈夫!)。オリジナル缶バッジをプレゼントします。
※なくなり次第終了となります。在庫が僅少となった場合は、神奈川近代文学館公式Xでお知らせしますが、品切れの際はご容赦下さい。※おひとり1点を贈呈。2回目以上の入館・入場による再贈呈はいたしません。

◆オリジナルグッズの販売

ミュージアムショップにて、クリアファイルと絵はがきをセットで販売します。販売価格は500円(税込)
※今回のグッズは神奈川近代文学館オリジナルで、現地のみでの販売となります。通信販売等は行いませんのでご了承下さい。※なくなり次第販売を終了します。在庫が僅少となった場合は、神奈川近代文学館公式Xでお知らせしますが、品切れの際はご容赦ください。☆おひとり3セットまでの販売となります。☆転売目的でのグッズ購入はお断りさせていただいております。

「文学の森へ 神奈川と作家たち展 第3部 太宰治、三島由紀夫から現代まで」展示内容

第3部では、敗戦直後の混沌とした時代に「無頼派」の名で一世を風靡した太宰治、坂口安吾。戦後の繁栄と平和のなか自らの虚無に殉じた三島由紀夫。古今の書物を繙き、歴史の闇に埋もれた存在に光を当てた澁澤龍彥らの作品世界を、それぞれの神奈川ゆかりと共に紹介します。
登場する作家は太宰治坂口安吾、島尾敏雄、大岡昇平、安部公房、三島由紀夫、澁澤龍彥、山本周五郎、開高健、石原慎太郎、庄野潤三ほか、現在も活躍中の五木寛之、村上龍 、島田雅彦、柳美里。
原稿や書簡など、作家のいわば分身ともいえる資料を通してリアル文豪の息吹に触れてください。

会期:2024年2月6日(火)~ 3月24日(日)
開館時間:午前9時30分~午後5時00分(入館は4時30分まで)
休館日:月曜日(2月12日は開館)
観覧料:一般260 円、20 歳未満及び学生160 円、65 歳以上110 円、高校生100 円、中学生以下は無料 
※身体障がい者手帳、愛の手帳、療育手帳、精神障がい者保健福祉手帳をお持ちの方は無料 (詳しくは、神奈川近代文学館にお問い合わせください)

隴西の李徴は博学才穎、天宝の末年、若くして名を虎榜に連ね、ついで江南尉に補せられたが、性、狷介、自ら恃むところ頗る厚く、賤吏に甘んずるを潔しとしなかった。

いくばくもなく官を退いた後は、故山、虢略に帰臥し、人と交を絶って、ひたすら詩作に耽った。

下吏となって長く膝を俗悪な大官の前に屈するよりは、詩家としての名を死後百年に遺そうとしたのである。

しかし、文名は容易に揚らず、生活は日を逐うて苦しくなる。李徴は漸く焦躁に駆られて来た。

この頃からその容貌も峭刻となり、肉落ち骨秀で、眼光のみ徒らに炯々として、曾て進士に登第した頃の豊頬の美少年の俤は、何処に求めようもない。

数年の後、貧窮に堪えず、妻子の衣食のために遂に節を屈して、再び東へ赴き、一地方官吏の職を奉ずることになった。一方、これは、己の詩業に半ば絶望したためでもある。

曾ての同輩は既に遥か高位に進み、彼が昔、鈍物として歯牙にもかけなかったその連中の下命を拝さねばならぬことが、往年の儁才李徴の自尊心を如何に傷けたかは、想像に難くない。

彼は怏々として楽しまず、狂悖の性は愈々抑え難くなった。一年の後、公用で旅に出、汝水のほとりに宿った時、遂に発狂した。

或夜半、急に顔色を変えて寝床から起上ると、何か訳の分らぬことを叫びつつそのまま下にとび下りて、闇の中へ駈出した。

彼は二度と戻って来なかった。附近の山野を捜索しても、何の手掛りもない。その後李徴がどうなったかを知る者は、誰もなかった。

翌年、監察御史、陳郡の袁傪という者、勅命を奉じて嶺南に使し、途に商於の地に宿った。

次の朝未だ暗い中に出発しようとしたところ、駅吏が言うことに、これから先の道に人喰虎が出る故、旅人は白昼でなければ、通れない。

今はまだ朝が早いから、今少し待たれたが宜しいでしょうと。袁傪は、しかし、供廻りの多勢なのを恃み、駅吏の言葉を斥けて、出発した。

残月の光をたよりに林中の草地を通って行った時、果して一匹の猛虎が叢の中から躍り出た。

虎は、あわや袁傪に躍りかかるかと見えたが、忽ち身を飜して、元の叢に隠れた。

叢の中から人間の声で「あぶないところだった」と繰返し呟くのが聞えた。

その声に袁傪は聞き憶えがあった。驚懼の中にも、彼は咄嗟に思いあたって、叫んだ。

「その声は、我が友、李徴子ではないか?」袁傪は李徴と同年に進士の第に登り、友人の少かった李徴にとっては、最も親しい友であった。

温和な袁傪の性格が、峻峭な李徴の性情と衝突しなかったためであろう。

叢の中からは、暫く返辞が無かった。しのび泣きかと思われる微かな声が時々洩れるばかりである。

ややあって、低い声が答えた。「如何にも自分は隴西の李徴である」と。

袁傪は恐怖を忘れ、馬から下りて叢に近づき、懐かしげに久闊を叙した。

そして、何故叢から出て来ないのかと問うた。李徴の声が答えて言う。自分は今や異類の身となっている。

どうして、おめおめと故人の前にあさましい姿をさらせようか。

かつ又、自分が姿を現せば、必ず君に畏怖嫌厭の情を起させるに決っているからだ。

しかし、今、図らずも故人に遇うことを得て、愧赧の念をも忘れる程に懐かしい。

どうか、ほんの暫くでいいから、我が醜悪な今の外形を厭わず、曾て君の友李徴であったこの自分と話を交してくれないだろうか。

後で考えれば不思議だったが、その時、袁傪は、この超自然の怪異を、実に素直に受容れて、少しも怪もうとしなかった。

彼は部下に命じて行列の進行を停め、自分は叢の傍に立って、見えざる声と対談した。

都の噂、旧友の消息、袁傪が現在の地位、それに対する李徴の祝辞。